2019年の11月16日、私はマルタ共和国にいました。ダフネ・カルアナガリチア氏殺害への抗議集会に参加するためでした。ダフネ氏は2017年に首相の汚職を追う中で殺されたジャーナリストです。
集会前、ダフネ氏の殺害現場へ行きました。現場は数分に一度車が通る二車線道路脇の畑でした。周りは見渡す限り畑で、足元ではバッタが跳ねています。権力者は何でもやる、どこまでも殺しに来るのだと恐ろしくなりました。
ただ、集会に行くと恐怖は薄れました。腕を目一杯伸ばして「首相の辞任を求む」というプラカードを掲げる10歳くらいの男の子をはじめ、老若男女問わず数百人が参加していたからです。集会の前のデモでは、参加者がダフネ氏の写真やマルタの国旗、「真実と正義」と書かれたプラカードを掲げて首都バレッタを行進しました。カフェのテラス席からは人々が立ち上がり、拍手を送っていました。
ジャーナリストは一人で戦っているわけではない。多くの市民に支えられるジャーナリストを目指して、記事を書いていきます。
リポーター 友永翔大
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