プレスの自由のために

ワセクロが第1回ジャーナリズムXアワードを受賞、「非営利の探査報道フロントランナー」

2020年07月30日17時11分 渡辺周

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ジャーナリズム市民支援基金(星川淳代表幹事)は2020年7月30日、「第1回ジャーナリズムXアワード」の大賞をワセダクロニクルに授賞したと発表した。68件のエントリーの中からワセクロを選んだ。賞金は100万円。

ジャーナリズムXアワードは、「政権によるマスメディアへの介入が言論や表現の自由を萎縮させて、『権力の監視』機能を弱めている」という危機意識のもと、市民が支えるジャーナリズムの仕組みを築く目的で創設された。

選考はジャーナリズム支援市民基金の運営幹事5名とアドバイザー2名の他に、社会起業家とジャーナリズム研究者の外部委員が行った。全68件のエントリーの中から大賞1件と次点1件、選考委員奨励賞4件を選んだ。

ワセクロは2017年2月の創刊以来、日本外国特派員協会の「報道の自由推進賞」、反貧困ネットワークの「貧困ジャーナリズム大賞」、Linked Open Dataチャレンジ2019の「優秀賞」、オープン&ビッグデータ活用・地方創生推進機構の「最高賞」を受賞しており、今回で5度目の受賞となった。

若く多彩なメンバーがワセクロの活動のエンジンだ

「アウトプットの質と量」、社会改善の「具体的成果」、「国際連携」、「データジャーナリズム」を評価

【選考委員会による選評】

日本における非営利の調査(探査)報道を牽引するジャーナリスト組織として、国内外のステークホルダーと協働で幅広い活動を展開。2019年には、国際連携を含む8つのシリーズ(連載)企画や、国税使途検索システム「JUDGIT!」の共同制作に加え、連載をきっかけとする強制不妊被害者補償法成立、韓国での企業幹部贈賄捜査、共同制作の「製薬マネーデータベース」を活用した文科省による調査と、同省から各大学に対する兼業規定・倫理規定見直し要請などの具体的成果ももたらした。アウトプットの量と質、ジャーナリズムとデータベース制作との結合、海外への発信や国際連携報道、比較的若い世代が主役を担う点において、第1回の大賞にふさわしいフロントランナーと認める。

【ワセクロ編集長・渡辺周の受賞コメント】

私が住む東京・赤羽の飲み屋さんには、ワセクロのステッカーが貼ってある。店主には「おい、真実のために突っ込んでいけよ、頼んだよ」とよく喝を入れられる。飲み仲間がワセクロの活動を知り、その場で次々に寄付してくれたこともあった。

乃木坂のレゲエクラブからはこの春、対談の依頼があり、DJブースの前で語り合った。レゲエミュージシャンは、「ジャーナリズムが大本営発表では駄目だ」と憤慨し、「腹をくくり大きなものに挑むのがレゲエとジャーナリズムの共通点だ」といった。

そして今回、ジャーナリズムXアワードをいただいた。赤羽の飲み屋さん、レゲエクラブど同様、本賞には「ジャーナリズムを市民の手に取り戻す」エネルギーが脈打っている。電通、製薬会社、北朝鮮といった巨象を相手に、アリンコみたいな私たちが満身創痍でも挑めるのは、このエネルギーをもらえるからこそだと思う。

メンバー一同、受賞に心から感謝している。第1回の受賞者であることがなお嬉しい。本賞に取り組むみなさんと共に、市民が支えるジャーナリズムを前進させていきたい。

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