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4都県での東京五輪の無観客開催が決まって一夜明けた7月9日朝、東京五輪組織委員会はパートナー企業向けに非公開の会議を開いた。会議で組織委幹部は「この3週間で感染状況が悪くなるとは想定していなかった」と発言、緊急事態宣言が出た場合の対処を準備していなかったことを明かした。
組織委は、無観客開催の対応を想定していなかったため、チケットの払い戻し手続きさえ決まっておらず、企業側からの相次ぐ質問にほとんど答えられない状態だった。
副事務総長「追い込まれてここに至った」
組織委とパートナー企業との非公開の会議は、7月9日午前9時30分から約1時間にわたりオンラインで開かれた。Tansaは議事内容の詳細な記録を入手した。
冒頭、組織委の古宮正章・副事務総長が、無観客開催について言及した。
「4月28日のパートナーミーティングの段階では、パンデミックが収まっていって、競技場にお客さんをお迎えして大会を迎えるということを前提としていた。ところがその後、まあ、ご覧の通りでございますけども、コロナの状況はほぼ一向に改善しないまま、今日に至ることになりました。正直申し上げて、我々最後の最後まで頑張ってみたんですが追い込まれて、ここに至りました」
現時点での、組織委の準備態勢についてはこういった。
「パートナーさんにはチケットの問題が出てくることになります。本日のところは残念ながら、今後必要な措置の中身を整えておりません」
マーケ局長「まん防から経過措置に変わるであろう」という前提
次に組織委から発言したのは、電通出身の坂牧政彦マーケティング局長だ。坂牧局長は、5者協議(国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会(IOC)、組織委、東京都、日本政府)の共同声明文を読んだ後、次のように語った。
「6月21日に上限を決めた際には、6月20日まで続いていた緊急事態宣言が7月11日までには、まん延防止から経過措置に変わるであろうという前提で、1万人上限という設定をさせていただきましたが、この3週間で逆に感染状況が悪くなるという、想定をしていなかった結果になってしまいました。そのことにより12日から緊急事態宣言ということになったこともあって、昨日大部分の無観客を決定した次第でございます」
そしてパートナー企業に対して謝罪した。
「この間、何度となくチケットに関する変更、払い戻し等々あったことで、何よりも決定が遅れたことをまずはお詫び申し上げます。世界に向けて発信される映像の中に、1人でも多くの観客の方がいて、ウィズコロナ、アフターコロナの中でスポーツの新しい観戦体験というものを示したいという思いもあって、最後の最後まで頑張ってきましたが、今回4回目の緊急事態宣言が発出されるに至り、断念することになりました。このような結果になり本当に心よりお詫び申し上げます」
バッハ会長へのパナソニックの懸念
パートナーとの質疑応答では、チケットの払い戻し手続きや、パートナー企業のPR展示「ショーケーシング」ができるかなど今後の段取りについて質問が相次いだ。組織委は「早急に調整します」と繰り返し、ほとんど回答できなかった。
これに対しパートナー企業から批判は出なかったが、パナソニックが組織委に見解を求める場面があった。
パナソニックが見解を求めたのは、IOCのバッハ会長の行動についてだ。
「組織委のご意見をお聞きしたい。バッハ会長が、昨日お越しいただいて、広島と長崎の訪問を考えているというニュースに対して様々な意見が飛び交っています。多分気にされているパートナーさんもいらっしゃると思うので、組織委としてこのご訪問について、バッハ会長含むIOC側に何かご意見をいわれているのか、いわれていないのか、この緊急事態宣言下を踏まえてお話しされていることがあれば、共有いただけると幸いです。オリンピック自体の世の中の見え方というものを、あんまり不安定な方にこれ以上持っていくという要因の一つになってしまうと思います」
この質問には古宮副事務総長が答えた。
「バッハさん等の広島等の訪問について何か、公式に組織委員会で出していることはないと思います。私もそこまで正確に確認しているわけではありませんけども、今回のことについて組織委員会として何か、見解を持っているとか、意見として申し上げていることはありません」
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