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インドネシア西ジャワ州のチレボン石炭火力発電所2号機建設に絡む汚職事件で、現地の環境NGOのメンバーと弁護士が12月5日、東京都内で会見した。政府100%出資の公的銀行、国際協力銀行(JBIC)が問題の2号機への融資を中止するよう訴えた。
チレボン石炭火力発電所2号機建設に絡む汚職事件でのカネの流れを説明する環境NGOインドネシア環境フォーラムの都市・エネルギー問題キャンペーンマネージャー、ドゥウィ・サウン氏。奥はラスマ・ナタリア弁護士=2019年12月5日午後2時17分、東京都千代田区有楽町1丁目
- ワセダクロニクルは、チレボン石炭火力発電所をめぐる問題を、韓国の独立メディア・ニュース打破(KCIJ/Newstapa)とインドネシアの有力誌テンポ(Tempo)と共同で取材しています。
使途不明金は「1,870億ルピア」
会見したのは、首都ジャカルタに本部を置く環境NGOインドネシア環境フォーラム(WALHI)の都市・エネルギー問題キャンペーンマネージャー、ドゥウィ・サウン氏とバンドン法律扶助協会のラスマ・ナタリア弁護士。2人は長年、チレボン石炭火力発電所に絡む問題に取り組んできた。
同2号機をめぐっては、インドネシアの独立捜査機関、汚職撲滅委員会(KPK)が現代建設ゼネラル・マネジャーのヘリー・チョン容疑者(60)を贈賄側の容疑者として認定。汚職撲滅委員会によると、チョン容疑者は同州チレボン県のスンジャヤ・プルワディサストゥラ前知事に対して60憶4,000万ルピア(約4,670万円、1ルピア=0.0077円)を渡した疑いがあるという。
会見でサウン氏は、インドネシア環境フォーラムが独自に調査した結果を紹介。「収賄の疑いが指摘されている2号機の関連工事に1,870億ルピア(約14億5千万円)の使途不明金がある」と指摘した。
サウン氏は「汚職事件のある事業に対して、日本の国際協力銀行などは融資を止めてほしい。この汚職事件は決して個人の汚職ではなく、会社組織が関与したものだ。銀行側は証拠資料を汚職撲滅委員会に提供すべきだ」と話した。
「不起訴はたった1件」
また、ナタリア弁護士は汚職撲滅委員会の捜査状況についての見通しを示した。「汚職撲滅委員会がターゲットにした案件は1年程度で結論が出ている。汚職撲滅委員会はこれまで1,007件を事件として扱っているが、起訴されなかったのはたった1件だ」。ナタリア弁護士は今回の汚職事件でも、容疑者認定された関係者が起訴されて刑事裁判になる可能性が高いとの見方を示した。
汚職撲滅委員会は2号機建設を進める事業体であるチレボン・エナジー・プラサラナ社の上級幹部2人に対してインドネシア国外への渡航を禁止している。チレボン・エナジー・プラサラナ社への最大の出資者は大手商社の丸紅で、東京電力と中部電力の合弁会社JERAも出資している。
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